【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
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「落ち着いた?」
「はい……。ごめんなさい、ご迷惑をお掛けして……」
暁斗さんの腕の中で、やっと落ち着きを取り戻したのとほぼ同じタイミングで電気が復旧した。
まだ顔色が悪いと言って暁斗さんは私をソファへ座らせ、何も聞かず、ただずっと隣にいてくれた。
「あの……、びっくりしましたよね……?あんなに取り乱して……」
「まあ、少しは驚いたけど……。誰にでも苦手なものはあるからね」
そう言ってそっと頭を撫でてくれる暁斗さん。
まだスーツを着たままで、本当に帰ってきてすぐだったことが窺える。
暁斗さんの腕に包まれている間、いつもの香水の香りと、私を落ち着かせようとゆっくりと優しく語りかけてくれる声で、見えなくても暁斗さんの存在が確かにあると思えて安心した。
「……私、昔から暗くて狭いところがダメなんです。ずっと気を付けてたんですけど……」
「停電じゃ仕方ないよ。タイミングが悪かっただけでさ。でも、気を付けてた、っていうのを聞いて今までの疑問が解決したかも」
「疑問ってなんですか?」
「ん?いや、美緒の部屋のドア、中に君がいる時は閉まってることないなって思ってたんだ」
「あ……、そうです。閉まってるとちょっと怖くて……」
「そうだったんだ。もしかしてきっかけとかあったりする?」
「きっかけは……」