【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「もしかして具合悪いとか?」
そう言って暁斗さんが手の甲を私の頬にそっとすり寄せてくる。
「っ……!」
「あ、ごめん、冷たかった?俺、指先がいつも冷たくてさ」
「いえ!だ、大丈夫です」
「そう?じゃあ何か考え事かな。悩んでるなら俺でよければ聞くよ?」
「考えてはいましたけど、悩みではなくて……」
「ん?なに?今は言えない?」
「いえ……その……、暁斗さん……眼鏡似合うなって……思ってて……」
「え?」
いま私が言ったことの意味がよくわからないという表情をする暁斗さん。
それを見て、しまった、と思うも時既に遅く。
「ごっ、ごめんなさい!ホント私……」
「い、いや、いいよ。自分では眼鏡似合うと思ってなかったから嬉しいよ」
「お似合いです、すごく……。素敵です」
「ふふ、そっか。ありがとう」
そう言って暁斗さんははにかんだような笑顔を見せ、口角を緩く上げたまま再び新聞に視線を移す。
「……珍しい。照れてるんですか」
「うるさいよお前」
私達のやり取りをバックミラー越しに見ていたらしい藤堂さんが横やりを入れると、暁斗さんがすぐに言い返す。
この二人のやり取りも今では見慣れた光景だ。