【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
鏡に映る私はまるで別人のよう。
いつもは肩のあたりで揺れている髪はアップスタイルにされ、鎖骨から肩先、そして胸元が大きく開いた、膝下ぐらいの丈の黒いドレス。
ほとんど履いたことがない高さのヒールは、歩き方に気を遣う。
似合わないと思って普段は避けていた濃い赤色の口紅は、こういう衣装の時には華やかさを演出してくれるのだと知った。
「私、社長に見せてきます。きっと満足して……、あ……」
暁斗さんの注文通り『男が必ず振り返る』ようになっていると谷田部さんや他のお二人も言ってくださったし、私も自分じゃないみたいに見えるけど、大事なのは暁斗さんがどう思うかだ。
だから見てもらおうと思って社長室へ向かおうとすると、先にノックされる音がして、ゆっくり開かれた扉の先には暁斗さんが立っていた。
「入っていいかな?」
「あき……、し、社長……」
「え……、美緒……?」
ちょうど今見てもらいに行こうと思っていたけれど、いきなりのご対面とは。
暁斗さんは何て言うだろう、そう思いながら見つめていると、ふと目が合った。
「これで完成かな?……うん、いいね。じゃあ一旦上に戻ろうか」
「あ……、はい」