【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
「やだな、美緒ちゃん今日は冷たいね。もしかして三原に何か言われてる?」
「……いいえ」
「ははっ、嘘が下手。まあそういうところが可愛いけど。ねえ、こんな隅っこにいないで向こうで何か食べない?」
「い、いえ、私は……」
「いいから、ほら行こう」
「あっ、ちょ、ちょっと剣崎さん……」
ぐっと手を掴まれ、激しく抵抗するわけにもいかず半ば強引に会場の中央へと連れていかれてしまった。
こんなところを暁斗さんに見られてはまずいと思い、後ろを向くと。
「っ……!」
どなたかとお話しされながらも視線だけは私へ向けていたらしい暁斗さんと目が合う。
談笑しているように見えるのに暁斗さんの目は全く笑っていない。
明らかに怒っているのがわかった。
「剣崎さん、ごめんなさい。私やっぱり戻ります」
「いいじゃない、話すぐらい。それにあいつだってどこぞの美女とお話し中だよ」
「え……」
ふと見ると、先程とは話す相手が変わっていて、剣崎さんのいう通りとても綺麗な女性が暁斗さんの腕に手をかけ、ごく親しい関係であるかのような距離感で話している。
「大丈夫、とって食べたりしないよ。それとも、美緒ちゃんは俺と話すのも嫌なぐらい俺が嫌い?」
「そ、そういうわけでは……」
「じゃあ少しだけ。本当に少しだけだから話そう?」
強引だったかと思えば、引いてみたりと剣崎さんも優れた話術の持ち主だ。