初恋のうたを、キミにあげる。



もしかして、もうこういうことがないように気をつけてってことなのかな。

きっと森井くんにとって私は最近親しくなった手のかかるクラスメイト。

自分でそう思って勝手に胸がずきりと痛む。



私は森井くんにとってどんな存在になりたいんだろう。




「小宮さんさ、ボディーソープ使った?」

「う、うん。ごめんなさい勝手に」

「いや、いいんだけど……桃の匂いがしたから」



頬の事件とは別に恥ずかしくなってきてしまい、慌てて前を向く。

染めた液体がついてしまったし、匂いがきつかったから少し使わせてもらった。と説明すると、森井くんは顔をそらしてしまった。


「……うん。別に大丈夫だから使っても」

「あ、ありがとう」

意識してしまうと自分から漂う甘い桃のボディーソープの匂いを感じてしまう。



それからの森井くんとの会話はどこかぎこちなくなってしまった。

ふわりと香る桃の匂いも、頬の感触も、まるで微熱みたいに私の体温を上げていた。






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