初恋のうたを、キミにあげる。
お父さんもお母さんも冷たい人なわけじゃない。
テストでいい点を取ったら褒めてくれるし、家事を手伝うと嬉しそうにしてくれる。
忙しいのに私のために時間をとって、年に一度は旅行に行こうって言ってくれる。
「……仲が悪いってことではないんだけど」
でも、大好きなはずなのに話すことが怖い。気持ちを伝えることがうまくできない。
私がつっかえずに話せたら、きっと関係はもっと違っていたと思う。
「はっきり言いなさい」「なにを言いたいのかわからない。要点だけにして」とよく叱られていた。
きっかけは小学生の頃に同級生に声を笑われていじめられ出してからだけど、それすら話すことができなかった。
知られることでがっかりされたり、ショックを受けられるんじゃないかって考えると怖い。
だから、舞花ちゃんにもリュウくんにも言わないでって頼んで伝わらないようにしてもらっていた。
それから上手く気持ちを伝えられなくなって、そんな私に両親は苛立っていた。
話したいことはたくさんあるのに、伝えたいことが纏まらない。
声を出すことも怖くて、話すことへの自信が消えていってしまった。
「送る」
「え、でも」
「暗いし、ひとりじゃ危ない」