初恋のうたを、キミにあげる。



だから、私は今こうしていられる。


臆病で逃げてばかりな私が変わり始めることができたのは、森井くんと出会えたからだ。

お互い休んでいて勝手に決められてしまった放送委員。


私の声を笑わずにいてくれて、『喋ることは罪じゃねーだろ』と言ってくれた。

それが私にとってはとても大きな言葉だった。



「ありがとう、森井くん」


私、放送委員になれてよかった。森井くんがいてくれてよかった。



「小宮さんってさ、自分の言葉がどれだけ俺のこと喜ばせてるか気づいてないよな」

「喜ばせてる? ……私が?」

「まあ、いいけど」



再び歩き出していく森井くんの背中を追いかけて、歩いていく。


風は少し冷たいのに寒くないのは頬が熱いせいかもしれない。






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