初恋のうたを、キミにあげる。
言いたいことを飲み込んでしまって、いつも人に怯えていた。
変わりたいくせに現状から脱出することに躊躇っていたそんな私の背中を押してくれたのが森井くんの存在だった。
興味があっても挑戦できなかったことをやってみることが私にとっては変わる一歩。
他の人にとっては小さなことでも、私にとっては大きなことなんだ。
「私……上手く喋れないし、苛々させちゃうかもしれないけど……それでも伝えたいこと本当はいっぱいあるの」
私ももっとちゃんと喋れるように努力をするから。
だから、言葉を遮らないで最後まで聞いて。
「お願い……お母さん、私の話を聞いてくれる?」
今だって否定されたらって思うと怖くてたまらない。
だけど、大事な家族だからこそ聞いてもらいたい。
「星夏も少しずつ大人になってきてるのね。ごめんね、気づけなくて」
お母さんが微笑みを浮かべて、私の頭をそっと撫でてくれた。
頭から伝わる優しい温度に泣きそうになってしまう。