初恋のうたを、キミにあげる。




森井くんとお揃いの色って考えるだけで顔が熱くなってくる。

すぐに染めると髪が傷むから、少し時間を置いてからにしたほうがいいと言われたので、チョコレート色にするのはもう少し先だけど、楽しみだな。




『お母さんとは話できた?』

『できたよ。森井くんのおかげです。ありがとう』


きっとあのときの森井くんの後押しがなければ、お母さんに伝えることがなかなかできないままだった。

感謝してもしきれないくらいだ。



『またなにかあったら連絡して』

『いいの?』

『いいですよ』


珍しく敬語で返ってきた。それだけなのに顔が綻んでしまう。


『そうだ、今日話したWEBラジオこれ。時間あるとき聴いてみて』

『ありがとう。楽しみ』

『ひとりでいるときに聴くことがおすすめ。俺、めちゃくちゃ笑った』

『わかった! ひとりのとき聴くね』


好きって自覚してから、私の感情はどんどん溢れ出てくる。

メッセージ一つひとつが嬉しくて、幸せな気持ちになれる。




初めて恋を知った夜。

ずっと苦手だった学校が楽しみに思えた。






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