初恋のうたを、キミにあげる。
「……ごめん。ちょっと意地の悪いこと言った」
「えっと……?」
森井くんは額を手で覆って、ため息を漏らした。
その表情が見えなくて不安になる。
「俺としては、できればこれからも頼られたいんですけど」
「は、はい! ……へ?」
突然の敬語に思わず敬語で返してしまったけれど、これは迷惑ってわけではないってことなのだろうか。
真意がわからず、森井くんの顔を覗き込もうとすると、空いた手で阻止された。
私の顔を森井くんの大きな手が覆ってくる。
それだけで沈んでいた気持ちがふわりと浮かんだ。
「も、森井くん」
「なに?」
「もう話したくないとか、迷惑ってわけでは……ない、ですか」
少しの沈黙の後、再びため息が聞こえた。
手が顔から離れていき、眉間に皺を寄せた森井くんと視線が交わる。