初恋のうたを、キミにあげる。
「森井くんは……どんどん私のとくべつになる」
「え」
「あ、ジュース! なにがいい?」
森井くんはなにか言いたそうに口を開きかけたけれど、すぐに閉ざしてしまった。
そして、自動販売機の中のペットボトルのメロンソーダを指差した。
「じゃあ、これで」
「メロンソーダって売ってるんだ」
ファミレスとかお店でしか飲めないものだと思っていた。
あとは、かき氷シロップが余ったときに小さい頃はリュウくんたちと炭酸で割って飲んでたっけ。
「まあ、滅多に見かけないよな」
「うん、びっくり」
お金を入れて、メロンソーダを一つ買う。
それを森井くんに差し出すと、「ありがとう」と言って受け取ってくれた。
「小宮さんはいつもなに飲むの」
「えっと……紅茶、とか。でも今度メロンソーダ買ってみようかな」
「じゃあ」
森井くんはポケットから小銭を取り出して、メロンソーダのボタンを押した。
受け取り口に落ちてきたメロンソーダを森井くんが私の手に握らせる。