初恋のうたを、キミにあげる。
リュウくんが着替え始めたので、後ろを向いて本棚に置いてある漫画を物色する。
あ、新しい漫画増えてる。ファンタジーものかな。初めて見たけれど、あらすじを読んでみるとおもしろそうだ。
リュウくんの部屋には私が普段買っていない少年漫画とかが揃っているから、ときどき貸してもらっている。
「舞花と最近話してる?」
「えっ」
漫画のページをめくろうとした手を止める。
「あれからなんかよそよそしいじゃん。朝も会話ぎこちないし」
「……そうだね」
「放っておけっていったのは俺だけどさー、なんつーかあの空気そろそろしんどいなって思って」
朝、三人で行くときは会話が全くないというわけではない。
けれど、時折ふと会話が途切れる。
今までもそんなことはよくあったけれど、それは居心地が悪いものではなかった。
でも、最近はその沈黙に居心地の悪さを感じていた。