初恋のうたを、キミにあげる。


「このままでいいって思っているわけじゃないんだろ?」

「……うん」


なにか話題を必死に探して、笑顔を繕って本音を隠して接してしまう。

今までだってなんでも言えていたわけじゃない。

心に押し込んでしまったことだってある。


だけど、今の状況は上辺だけで繋ぎ止めているみたいだった。



「なあ、星夏」

振り返るとリュウくんは部屋着に着替え終えていて、私との距離を縮めてくる。



「舞花は口うるさいとこあるけど、俺も舞花も昔から星夏の味方だよ。それは絶対変わらない」


……知ってる。知ってるよ。



私が辛いとき、傍にいてくれたのはふたりだった。

舞花ちゃんだって私のことを心配して、森井くんたちと関わらないほうがいいって言ってくれていた。



「リュウくん、あのね」


けど、違うの。

私はふたりに味方でいてほしいわけじゃない。






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