初恋のうたを、キミにあげる。



「私にもふたりを守らせて! 私……っまだ、頼りないけど……それでも大好きなふたりを守りたいの!」


守る基準なんてわからない。

けれど、私はふたりがどうしようもなく辛いときに話を聞いたり、傍で支えられる存在になりたい。

後ろからついてくんじゃなくて、隣に並ばせてほしい。


「ま、舞花ちゃん!?」

舞花ちゃんが目を見開いたまま、ぽたりと涙を流した。

リュウくんはティッシュを数枚とって、舞花ちゃんの顔に乱暴に押し付ける。



「ちょっと! なにすんのよ!」

「惚けてねぇで、なにか言ってやれよ」

「なっ、痛いってば! バカ!」

「あー、はいはい。鼻水出てますけど」


いつも通りのふたりに安堵してしまう。

けれど、どうして舞花ちゃんが泣いたのかわからない。


「鼻水なんて出てない!」

「つーか、泣くなよなー」

「だって、そんなこと言ってもらえるって思ってなかったから……」


リュウくんに渡されたティッシュで涙を拭った舞花ちゃんが照れくさそうに笑った。

ずっとどこかぎこちなかったから、笑顔を見るのは久しぶりな気がする。





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