初恋のうたを、キミにあげる。
「……それはだいぶ前から私たち察してたけど」
「え、そ、そうなの!?」
「明らかに星夏って森井の話するとき嬉しそうだったから、気づいていたわよ」
舞花ちゃんはリュウくんに同意を求めるように「ね?」と聞くと、リュウくんは頷いた。
その瞬間、さらに頬の温度が上昇していく。
自分でも気づかなかった想いにふたりはずっと気づいていたんだ。そう思うと恥ずかしくてたまらない。
「正直、星夏が森井のこと好きになって、遊ばれでもしたらって思うと不安で。それで離れたほうがいいって言ったの」
「まー、大丈夫だろ。森井のあの様子だと翻弄されてるのは向こうだし。やるな、星夏」
「なにそれ、想像つかないんだけど。森井のほうが翻弄されてるの?」
私は森井くんにいろいろなことをしてもらってばかりで、特になにもしていない気がする。
それに翻弄って、私にそんなことができるはずない。
「まあでも、森井が悪い奴じゃないっていう星夏の言葉信じるよ。だから、頑張ってね」
「俺も応援してる」
「けど、なにかあったら私たちに相談すること!」
いつも心で腐らせていた言葉を、やっと外に出せた。
伝えようと思っても伝わらないことだってある。
けれど、どうせ伝わらないってあきらめるよりも、伝える努力をして言葉にしたほうがずっといい。
「聞いてくれて、ありがとう」
まだまだ頼りなくて、そんなにすぐに強くはなれないけれど、それでも私はまた一歩前に進むことができたかな。