初恋のうたを、キミにあげる。
翌日も雨だった。もう一週間以上、雨が降り続いている気がする。
雨は憂鬱だけど、学校へ行くことは私の気分を晴れにしてくれた。
毎日教室で森井くんと会えるし、木崎さんや大城くんと話すのも楽しい。
***
チャイムが鳴って、昼休みが始まる。
今日の昼はひとりだけど、前みたいに寂しさはない。
教室のどこにも居場所がなかったあの頃とは違うからかもしれない。
「あれ、小宮ちゃん今日はひとり?」
木崎さんがおにぎりを持って私の前の席に座った。
小宮さんから〝小宮ちゃん〟と呼ばれるようになったのが、距離が縮まったみたいで実はちょっと嬉しい。
「あ、うん。今日は舞花ちゃんがミーティングなの」
「そっかぁ」
舞花ちゃんが所属しているテニス部の試合が近いらしく、昼休みにミーティングがあるから今日は一緒に食べられないと言っていた。
最近は舞花ちゃんもリュウくんも部活が忙しそうだ。
私もなにか部活に入ってみればよかったかな。
なんて今更になって思うけれど、やっぱり私は家に帰って歌っているほうが楽しめるかもしれない。