初恋のうたを、キミにあげる。
「なんか買いに行く?」
「いいの?」
「うん、行こー!」
木崎さんもおにぎりを食べ終えたので、一緒に自動販売機へと向かう。
こんな風に木崎さんと歩いているなんて不思議だな。
前までは勝手に近寄り難いななんて思っていたのに、今ではそんな気持ちは一切ない。
自動販売機の前まで着いて、商品と睨めっこ。
どれにしようか迷ったけれど、メロンソーダを見つけてすぐに心が決まった。
「お、小宮ちゃんもそれ好きなんだ」
「うん。飲んだらはまっちゃって」
「メロンソーダ、慎ちゃんもよく飲んでるよー」
私が飲みたいと思ったのも森井くんとのことがあったからだ。
好きな人の好きなものを、好きになってしまう。
単純だけど、きっとそれが恋をしているってことなのかな。
「あれー? 木崎じゃん」
私たちの背後から声が聞こえてきて慌てて振り返る。