初恋のうたを、キミにあげる。



髪の毛の色が明るくて、制服を着崩している女子生徒が三人立っていた。

香水のキツイ匂いがして、胸のあたりに不快感が広がる。



「今日は男なし? 珍しー」

「つーか、女の友達いたの? ウケる。よくこいつと仲良くするね」


明らかに友達ではない棘のある会話。

木崎さんを見ると、表情を強張らせている。

いつも明るくて、人と気さくに話している木崎さんから笑顔が消えたということは、きっとこの人たちとは仲が良くない。



「……なにか用ですか」

木崎さんは聞いたことのない低い声で女子生徒たちを睨む。

敬語ということはこの人たちは先輩みたいだ。


「はぁ? あんた本当生意気だよねー。人の彼氏奪っておいてさ」

「奪っていません」

「うわー、でたよ」

「こういうのもうやめてもらえませんか」


ひとりの先輩が木崎さんの胸元を乱暴に掴む。

突然の出来事に息を飲んだ。



「夏帆はあんたのせいで傷ついたんだよ」

「私は奪ったりしていません」

「マジでムカつく」


木崎さんは表情一つ変えずに、先輩を見つめている。

その様子に苛立った先輩が手を振り上げた。




————だめ!


咄嗟に先輩の手に飛びつくように掴む。




「っやめてください!」





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