初恋のうたを、キミにあげる。
「猛獣使いがちゃんといたのか」
「は? 誰が猛獣なの!」
「うっせ」
再びスイッチが入ってしまい、舞花ちゃんのカーディガンの裾を引っ張り、必死に止める。
森井くんはどうでもよさそうに欠伸を漏らしていて、マイペースな人のようだった。
委員会の人が集まってきたので、渋々といった様子で舞花ちゃんは帰っていった。
いつも心配ばかりかけてしまっている。
どうしたら私は舞花ちゃんやリュウくんと並べるんだろう。
「小宮さん、クラス順で座るらしいから、俺らの場所こっち」
二年生は真ん中の列で、私たちは一組なので一番前の席に並んで座った。
森井くんは気だるげに頬杖をついて携帯電話をいじっている。
あまり知らない男の子と一緒の委員なのは緊張する。それに、放送委員がどんなことをするのかわからない。
多分曲を流したりするだけでも大丈夫だとは思うけれど。校内放送で話したくはない。
私の声が流れるのなんていやだ。