初恋のうたを、キミにあげる。



生徒がいなくなり、ひとりぼっちになった教室で立ち尽くす。

このクラスになったばかりの頃、俯いてばかりだった。


学校が楽しいなんて思わなかった。


呼吸もし辛くて、早く帰りたいって常に思っていた。



だけど、学校に来ることが楽しみになって、前を向けるようになったんだ。

呼吸も意識せずに自然にできるようになったのは、森井くんたちと話すようになってからなんだよ。





このままなんていやだ。


みんなとまた話したい。


こぼれ落ちた涙が机の上に弾ける。

いつのまにか私にとっての日常が変わっていた。




「……こんなのいやだよ」


吐き出した言葉が誰にも届かずに消えていった。






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