初恋のうたを、キミにあげる。



今日はリュウくんも舞花ちゃんも部活。

雨が降っていても、室内でトレーニングを行うらしい。


ひとりぼっちで歩く廊下は酷く長く感じて、心が押しつぶされそうなほど苦しくなる。


窓を叩きつけるように降る横殴りの雨。

濡れた外は濁っていてよく見えない。


私ってこんなに歩くの遅かったっけ。いつも通りが思い出せない。



「小宮」


振り返ると、体格のいい先生が立っていた。昨日進路指導室へと連行した生活指導の先生だ。



「ちょっといいか」


少し硬い声音で、こちらの表情を探るように見つめられる。



「あまり時間はとらせない」

「は、はい……」

身長も高く強面で、威圧感があるので怖いけれど、怯みそうになる足に力を入れてしっかりと立つ。



「最近森井や木崎、大城と一緒にいるそうだな」

「はい」

「飲み物を買わされたり、強引に連れ出されてりしているという噂を聞いたんだが、本当か」






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