初恋のうたを、キミにあげる。



先生がなかなかこないので、携帯電話で音箱のマイページにログインをして、ファンからのメッセージに目を通す。

未読のメッセージが何通か来ていた。


『いつも応援しています』

『次の放送も楽しみです』

『ナツさんの歌声、大好きです! まだ動画アップしますか?』


温かいメッセージが嬉しい。私の歌を楽しみにしてくれている人がいることが心の支えだった。


普段は自分の意思をうまく伝えられなくて、声を聞いたときの周りの反応が怖くて話すことに怯えてしまう。


怖がりで人をすぐにイラつかせてしまう自分が、唯一のびのびとしていられる歌い手のナツは私の中でなくてはならない存在だ。



「はい、じゃあ委員会はじめるぞー」

先生の声が聞こえて慌てて携帯電話をしまう。


メッセージの確認に夢中になりすぎていて、先生が来ていたことに気づかなかった。


学校で音箱にログインする時は誰かに見られないように気をつけないと。




< 15 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop