初恋のうたを、キミにあげる。
「やだ、慎ちゃん今のデレたの!?」
「俺、このふたりを見てるだけで照れるわー」
「お前らうるせぇ」
三人の会話に自然と笑みが溢れる。
また話せるようになった。私の気持ち、伝わったんだ。
喉元にそっと手をあてる。
言葉は時々凶器になるけれど、言葉は人を守ることもできる。
私の声は人よりも少し高めで、それは人によってはぶりっ子だとか言うけれど、わかってくれる人もいる。
声は個性で、宝物。
「みんな、ありがとう」
三人が一斉にこちらを向いた。
「いやいや、私たちの方がありがとうだよー! 小宮ちゃんがいてくれてよかった!」
木崎さんがぎゅっと抱きついてくる。
大城くんは「俺の方こそ、ありがとう!」なんて言って笑っていて、森井くんは目が会うと少しだけ口元を綻ばせた。