初恋のうたを、キミにあげる。
「う、うん」
驚くと事前に言われてしまうと身構えてしまう。
見上げた森井くんの表情は真剣で、私はじっと言葉を待つ。
「俺、小宮さんのことが好き」
緩やかに吹いた少し温度を持った初夏の風が、私の髪を揺らした。
言葉の意味を理解するよりも先に、森井くんの顔がいつもよりも赤くなっていることに気づいて、私の頬にも熱が移っていく。
「……聞こえた?」
「え、あ……はい」
森井くんの口から、私のことが好きって聞こえた。
それは人として? 友達として?
そんなことを聞きそうになって、咄嗟に口を噤んだ。
好きの意味は、目の前の森井くんを見ていればわかる。