初恋のうたを、キミにあげる。


***


好きって言ってもらえたこと、本当に嬉しかった。

一生分の幸せを使い切っちゃったのかもしれないってほど幸せ。

だけど、ナツの正体が小宮星夏だと知られることは怖い。

森井くんがどう思うのかわからない。



時計を確認するとあと一分で八時になる。

準備は万端。

いつもの放送以上に緊張して、手に汗を握る。

パスワード設定をしてから、森井くんにURLと入室ようのパスワードを送った。




八時ジャスト。生放送が始まる。


リスナーはいない。


自分を落ち着かせるために深呼吸をして、マイクを握りしめた。

その瞬間、パソコン画面にリスナー<一人>の文字が刻まれる。



————森井くんだ。





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