初恋のうたを、キミにあげる。



森井くんに好きって言ってもらえたこと、本当に嬉しかった。

だから、私もちゃんと答えるね。


私も森井くんが好き。ずっとナツだってこと黙っていてごめんね。


幻滅されちゃったらって考えると怖いけれど、黙ったままの方がずっと気にしてしまうと思うの。



曲が終わり、たった一人のリスナーに向かって想いを伝える。




「私は好きな人のおかげで変わることができました。本当にありがとう。……大好きです」



声が少しだけ震えてしまった。


放送を聴いて、森井くんがどう思ったかわからない。

だけど、これが私。ナツであり、小宮星夏である私の本当の想い。



いつも通りの放送終わりの挨拶をして、終了ボタンを押した。



緊張が一気に解けて、ベッドの上に寝転がる。



さすがに小宮星夏=ナツだって気づいたよね。


携帯電話を確認しても森井くんからのメッセージは一切ない。明日は土曜日だから、次に会えるのは二日後だ。


どんな反応されるんだろう。きっと驚いているよね。



月曜日が来たら、直接話をしよう。



私がナツだってわかった上で、森井くんにちゃんと好きって言いたい。






< 160 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop