初恋のうたを、キミにあげる。
ど、どうしよう。
嬉しけど恥ずかしい。どうしたらいいのかわからない。
「その雑誌、おもしろい?」
「あ、うん。音楽のこといろいろ書いてある、から……」
「ふーん」
首筋に吐息がかかって、心臓がこれ以上ないってくらいドキドキしている。
抱きしめられていると森井くんの温度が伝わってきて、幸せでいっぱいになっていく。
恥ずかしいのに離れたくない。
……きっと森井くんにも心臓の音、聞こえちゃってるよね。
緊張を紛らわせようと次のページを捲ると、恋愛コーナーだった。
そこには大きな文字で『彼氏、彼女の好きなところは?』と書かれている。
そういえば、森井くんは私のどんなところを好きになってくれたんだろう。
告白をされたのだって森井くんが初めてで、今まで誰かに好きになられたことなんてないと思う。
木崎さんみたいに明るくて優しいわけでもないし、舞花ちゃんみたいに可愛くて面倒見がいいわけでもない。
「あ、あの……」
聞いたら困らせてしまうかな。
こういうの森井くんは聞かれたくない人かもしれない。
でも、知りたい。教えてもらいたい。
そしたら、私は少しだけ自分のことをすきになれるかもしれない。