初恋のうたを、キミにあげる。
「私の、どこが好き……ですか」
ダメだと思いながらも我慢できなくて聞いてしまった。
自分で聞いたくせに、反応が怖い。
耳を塞いでしまいたい。
「全部」
「へ? えっと……冗談、だよね?」
あっさりと答えらえてしまったけれど、私の全部を好きなはずない。
前よりも少しは変われたと言っても臆病な性格のままなのに。
「つーか、どんなところも受け入れられると思うから、全部」
「ほ、本当に? だって私……話すのも遅いし、人を苛つかせちゃうこともよくあるよ」
「いや、それ俺気にならないし」
私を抱きしめている森井くんの腕をぎゅっと掴む。
ものすごく幸せだ。
今まで自分がコンプレックスだと思っていた部分を森井くんは全く気にせずにいてくれる。
「てかさ、俺の方が口悪いし、態度も悪いし良いとこないだろ」
勢いよく首を横に振って、「そんなことない!」と否定した。
森井くんは良いところがたくさんある。
「優しいし、いつも周りを見てくれているし……私たくさん助けられたよ」
「それは小宮さんだから」
「私、だから?」
「そ。俺は小宮さんにしか優しくないし、小宮さんのことだからいろいろ気づけるだけ」
一つひとつの言葉が嬉しくて、どんどん森井くんのことを好きになってしまう。
そんな風に言ってもられるのなら、私は私でいられてよかったのかもしれない。