初恋のうたを、キミにあげる。
「この人のCDなら俺持ってるし、調べたら学校内で流す分には著作権とか大丈夫らしい。その次の週の曲はまた今度決めればいいよな」
頷くと森井くんは「じゃあ、決まりで」と言って紙に記入して先生に渡した。
決めた順に帰っていいとのことだったので、帰りの支度をしている森井くんとかぶらないように彼が教室を出るまで待つ。
きっと私と一緒にならないほうがいいよね。
「帰んないの」
声をかけられるとは思っていなくて驚いて顔を上げた。
森井くんが不思議そうな表情で「終わったんだから、帰れば?」と言ってきたので、慌てて立ち上がる。
帰りが一緒になってしまうのに森井くんは嫌じゃないのかな。
不安になりながらも教室を出て廊下を歩いていく森井くんの後ろに続く。
チョコレート色の髪が歩くたびに揺れて綺麗だ。
染めるなら、こういう色にしてみたいな。
「あのさ、なんで話さないの」