初恋のうたを、キミにあげる。


森井くんが足を止めて振り返る。


「ずっと話さないよな。教室でも話してるの見たことない」


真っ直ぐな瞳が私を捕らえて、視線をそらすことを許してはくれない。


「まあ、話したくないならいいけど」


違う。森井くんと話したくないわけじゃない。

ただ、怖いんだ。また笑われてしまうんじゃないかって、変な声だって言われるんじゃないかって。


考えるだけで、心が凍りつく。


だけど、このままでいいの?


一緒に決めないといけないのに黙ったままだった私に森井くんは自分で調べて提案してくれた。


それなのに、私はありがとうすら言えていない。



カバンから急いでルーズリーフを取り出して、ペンを走らせる。


「……なにしてんの」


訝しげに眉を寄せている森井くんに近づき、ルーズリーフを見せる。

少し乱暴な文字になってしまって恥ずかしいけれど、それよりも今は森井くんに伝える方が大事だ。





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