初恋のうたを、キミにあげる。
理解が追いつかずにフリーズしてしまう。
「綺麗な声だと思う」
音箱の中では歌声のことを綺麗と言われることはある。
だけど、日常生活で言われたことはなかった。
むしろ変だと笑われていて、褒められたことなんて一度もない。
「俺は好き」
「え……」
「それほど印象を与える声ってことだろ。その声を好きって人、俺以外にも結構いると思うけど」
森井くんがくれる言葉は不思議だ。
口調はキツイときがあるけれど、今までもらったことのない言葉をくれて不安を溶かしてくれる。
「ふ、不快に……思ったりしない?」
「なんでだよ。意味わかんね。喋ることは罪じゃねーだろ。話したいこと好きに話せよ」
話すことは罪ではない。
それなのに私はまるで自分が話すことが罪のように、不快にさせることのように思っていた。
森井くんは笑わなかった。
ちゃんと聞いてくれて、自分の意見を言ってくれた。