初恋のうたを、キミにあげる。



喉がぎゅっと収縮したみたいに苦しくて、声が出てこない。


言わないと。今、口に出さないと。

違うの。私はもっと、もっと話してみたい。



「やっ!」

喉が痛い。呼吸が上手くできない。

それでも吐き出した言葉を繋げないと。



「星夏?」

舞花ちゃんが不思議そうな表情で首を傾げる。

足を止めると、ふたりが振り返った。

向き合うように立ち、肺いっぱいに空気を取り込む。


「優し、かった!」


やっとの思いで出た言葉は情けないくらい掠れた声。



「え、森井が? 星夏、本当森井とかその周辺の男子には気をつけないとダメだよ」


届いたけど、届かない。

私の声はとても弱くて、力不足だ。


森井くんの周りの人がどんな人なのかはよく知らないけれど、森井くん自体は怖い人じゃない。




「……本当に、優しかったんだよ」







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