初恋のうたを、キミにあげる。
必死に舞花ちゃんを見つめて伝える。
不服そうにしている舞花ちゃんの頭にリュウくんが呆れたようにチョップをいれた。
「舞花は自分の意見を押し付けすぎ。別に森井って派手なグループにいるってだけだろ」
「いったいなぁ! だって、星夏が心配なの! ……また傷つけられて私たちとも話ができなくなったらって考えると怖いの」
「それはわかるけどさ、だれと関わるかを決めるのは星夏だろ」
「でも……」
舞花ちゃんはただ単に森井くんが嫌いだから仲良くするなって言っているわけじゃない。
私が昔クラスの女の子だけじゃなくて、男の子たちにもいじめられたことを知っているからだ。
そして、それで一時期誰とも話せなくなったことを舞花ちゃんとリュウくんは傍で見ていた。
「……ごめんね」
「なんで星夏が謝るんだよ」
「そうよ。星夏はなにも悪くないでしょ」
ふたりは優しい。そんなふたりに私は甘えて、心配をかけて、守られてばかりだ。
どうして時間が経っても怖いままなんだろう。
顔の見えない音箱では話せるのに。
目の前にいると、視線を感じると萎縮してしまう。
変わりたい。だけど、この声は変えられない。