初恋のうたを、キミにあげる。
閉じこもって目を瞑っていた私の世界はとても狭くて、水中に潜っているかのように息苦しかった。
でも顔を上げたら、呼吸は案外楽だったんだ。
「小宮さん」
友達の輪の中にいたはずの森井くんが私の元へとやってきて、携帯画面を見せてきた。
「これ曲候補なんだけどどう思う」
そこには放送リストと書かれていて、様々なアーティストの名前や楽曲が一覧になっている。
「意見聞かせて」
「あ……」
「なに?」
森井くんがリストアップしたアーティストは驚くことに私が好きな人ばかりだった。
書いてある楽曲もほとんど持っていて、音楽の趣味が合うことに嬉しさがこみ上げてくる。
「私も、好き」
「え、まじで。このレヴィンってアーティストの春めくって曲以外も聴いたことある?」