初恋のうたを、キミにあげる。



閉じこもって目を瞑っていた私の世界はとても狭くて、水中に潜っているかのように息苦しかった。

でも顔を上げたら、呼吸は案外楽だったんだ。




「小宮さん」


友達の輪の中にいたはずの森井くんが私の元へとやってきて、携帯画面を見せてきた。


「これ曲候補なんだけどどう思う」


そこには放送リストと書かれていて、様々なアーティストの名前や楽曲が一覧になっている。


「意見聞かせて」

「あ……」

「なに?」


森井くんがリストアップしたアーティストは驚くことに私が好きな人ばかりだった。

書いてある楽曲もほとんど持っていて、音楽の趣味が合うことに嬉しさがこみ上げてくる。



「私も、好き」

「え、まじで。このレヴィンってアーティストの春めくって曲以外も聴いたことある?」




< 31 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop