初恋のうたを、キミにあげる。
「う、うん! アルバムも持ってる。いい曲ばかりだよね」
森井くんは目を大きく見開いて、興奮気味に私の机の上に手をついた。
「まじか」
レヴィンは春めくって曲はCMに起用されて知っている人は多いけれど、他の曲は一般的にはあまり知られていない。
舞花ちゃんもリュウくんもあまり音楽には興味がないので、レヴィンの他の曲を知っている人と話すのは初めてだ。
「じゃあ、このアーティストは?」
「あ……うん、好き。……ほとんどここに書いてあるアーティストのCD持ってる」
「すげーな! こんなに音楽の好みあうやつ初めてだ」
どこか無気力で気だるげな森井くんがこんなにもイキイキとして音楽の話をするなんて意外だった。
こういう表情もするんだな。
そっか、そうだよね。誰にだって好きなことがある。
そのことを話すときは楽しいから、目が輝くんだ。