初恋のうたを、キミにあげる。
「せっかく放送委員になったんだし、おすすめしたい曲流すってのもありだよな。放送委員の特権だし」
「そうだね」
昨日の彼からは全く想像のできない姿で自然と笑みが零れる。
そんな私に森井くんは「なんだ別に普通じゃん」と言った。
「人と話すの苦手だって言ってたけど、俺と話せてるし、笑ってんじゃん」
「そ、それは……森井くんが昨日、私の話を聞いてくれたから」
「普通だろ、そんくらい」
森井くんにとって普通のことは私にとっては嬉しいこと。
知らなかった。高校でこんなに楽しく話せるの初めてで、自然と微笑んでしまう。
またありがとうって言いたいことが増えていく。
「ううん。森井くんは……優しい。私の話を聞いてくれて、ありがとう」
何故か森井くんは驚いた表情のまま硬直している。