初恋のうたを、キミにあげる。



おどおどした態度も、お母さんを苛立たせてしまって、その反応に怯えて更に言葉が出てこなくなってしまう。


「お、お母さんっ」

けど、ちゃんと伝える努力をしないとずっとこのままだ。

振り返ったお母さんは眉根を寄せて、テーブルの上のパンを見下ろした。


「食べるの? 食べないの?」

「た、食べる!」

「わかったわ。あ、もうお母さんもう出ないと! それじゃあ、星夏。ちゃんと片付けて、戸締りもよろしくね」


カバンを肩にかけて慌ただしくリビングを出て行くお母さんを見送る。


「……いってらっしゃい」


今更言葉が喉を通る。けれど、お母さんには届くわけもない。


牛乳でパンを流し込んでお腹に入れていく。食べないと午前中の授業でお腹が鳴ってしまう。

……今日、頑張らなくちゃ。






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