初恋のうたを、キミにあげる。


***




午前中からずっと落ち着かない。

音楽を流すだけだから難しくないらしいけれど、操作の仕方とか大丈夫かな。放送室なんて初めて入る。


念のため、先生から貰った紙をもう一度チェックしておかないと。


ええっと、あとは森井くんから持ってきてって言われたCD、カバンにちゃんと入っているよね?


ああ、どうしよう。さっきよりも緊張してきた。深呼吸して落ち着かないと。


胸に手を当てて深呼吸をしようとしたところでチャイムが鳴った。授業が終わった合図だ。時計の針は十二を指している。


いよいよお昼の時間が来てしまった。

緊張で呼吸が浅くなってくる。



「小宮さん、行くよ」


コンビニ袋を手に下げた森井くんが気だるげに私の元にやってきた。


「昼飯持った?」

無気力そうだけど、森井くんって結構しっかりものだ。

コンビニ袋の中には委員会で配られた機材の操作の仕方が書いてある紙が見える。



「は、ははははい」

「……大丈夫?」

「だ、大丈夫です」


不安げな顔をされて、必死に頷く。

森井くんを困らせないように頑張らなくちゃ。






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