初恋のうたを、キミにあげる。
お昼ご飯や流すCDなど必要なものを持って教室を出る。
廊下を歩きながら、昨夜熟読した操作の仕方を思い返す。
きっと大丈夫。何度も読んで確認をした。
他のクラスの人たちもできていたし、私たちだってできるはずだ。
「あのさ、小宮さん」
「は、はい!」
「そんな緊張することないんじゃねーの」
「……初めてのことってどうしても怖くって」
呆れられてしまうかな。
お母さんにも「どうしてそんなに自信ないの?」とよく呆れられた。
私は自信を持てることがない。
人よりも上手くできることがない。
昔から特技を書く欄に文字を埋めることができなかった。
「要領悪いし……失敗ばかりで……」
舞花ちゃんやリュウくんみたいに器用で勉強や運動ができる人とは対極にいる。
私は練習を何度もしないと人並みのこともできないのだ。
「俺がいる」
「へ?」
「わかんないことあったら言って。つっても、俺も放送委員初めてだけど。まあ、なんとかなるだろ。失敗したら、ふたりでフォローしあって、それでもダメだったら誰かに相談すればいい」
思わず立ち止まってしまう。