初恋のうたを、キミにあげる。
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私は得意なことよりも苦手なことの方が遥かに多くて、数えだしたら指が足りないくらい。
うじうじしている私の背中を本当は誰かに「ばっかじゃないの」って蹴飛ばしてほしいんだ。
だけど、そんな相手はいなくて、窮屈な日常から抜け出せない。
————また今日も意気地なしの一日が始まった。
「星夏、聞いてる? ああもう、またリボン斜めってる」
「ご、ごめん」
「髪もくしゃってなってるよ。そうだ、やっぱりこのまま黒で私はいいと思うんだけど。ね? リュウ」
通学路を歩きながら私の制服や髪を整えてくれている舞花ちゃんは、眠たげにあくびをしていたリュウくんに話題を振った。
するとリュウくんは少し困ったように私の顔を覗き込む。
「あー……まあな。星夏には黒髪が一番似合うと思う」