初恋のうたを、キミにあげる。
声のことでいじめられて、居場所がなくなって学校に行きたくなくなったときは小学生の頃も中学生の頃もあった。
それでも私が引きこもらずに学校に行けていたのは、味方がふたりもいてくれたから。
「私……強くなれるようにがんばる。もう俯いたままの自分なんていやなんだ」
まだまだ伝えたいことを口にできないことも多いけれど、きっとこのまま声を殺して日常生活を過ごしていくのには限度がある。
甘えてばかりではいられない。
「ちょっと変わったな。星夏」
「か、変わった?」
「うん。いいんじゃね。前向きって感じでさ」
前向き、になれているかな。
変わりたいって気持ちは前からあった。けれど、思うだけで進もうなんて思えていなかった。
でも今は変わるためにもっと人と話せるようになりたいって思う。
歌い手のナツのときみたいに、堂々と話せるようになりたいんだ。