初恋のうたを、キミにあげる。



「でしょ? 私もそう思う。だから、ね? このままでいいの」


黒髪が一番似合うって、黒髪以外したことないからわからないよ。

そんなことを思いながら俯きがちに歩いていく。


家が近くて、小学生の頃からずっと一緒の舞花ちゃんとリュウくん。

ふたりのことは大好きだ。


私が困っているときは手を差し伸べてくれる優しい幼なじみ。


「星夏に明るめの色は合わないよ」

「まあ、明るめの色のイメージねぇしなぁ」

「そうだよ。だから絶対黒のままがいいって」


でも、ときどき心臓が小さな箱に無理やり仕舞われたみたいにぎゅっとなる。


本当は話したいこと、伝えたいことがたくさんあるの。


でも、喉元につっかえて出てきてくれない。



もしも出てきてしまったら、ふたりを悲しませてしまうかもしれない。怒らせてしまうかもしれない。



言葉って時には凶器になるから、だから慎重に考えて話さないと後悔する。






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