初恋のうたを、キミにあげる。
私の悩みなんて森井くんにとってはちっぽけなことなのかもしれない。
うじうじしている私とは全く違っていて、さっぱりとしている森井くん。自分が持っていないものを持っている彼が羨ましくて憧れる。
「……なに?」
歩くたびに揺れるチョコレート色の髪。
窓から差し込んだ陽に当たるとワントーン明るくなって、きらりと光る。
綺麗な色。
「も、森井くん……質問が、ありまして」
「うん?」
「髪を、」
「髪?」
立ち止まった森井くんが眉根を寄せて首をかしげる。
私は慌てて足を止めて、森井くんの前に立つ。
「染めるのって……難しい?」
「いや、別に難しくないけど。薬局とかで売ってる染め粉買って、説明書通りにやればいいだけだし」
「……そうなんだ」