初恋のうたを、キミにあげる。


ああ、そっか。簡単なことだ。

やってみればよかった。

それなのに誰かに否定されたからって弱気になって諦めて、心の奥ではそれが引っかかっていた。



「やっぱり、森井くんはすごいね」

「は?」

「……カッコイイ」

すぐには難しくても、私も森井くんみたいになりたいな。

かっこわるい自分をやめて、少しでも堂々として自分のやりたいことに手を伸ばしていきたい。



「あのさ」

森井くんは額に手をあてて、前髪をくしゃりと握る。


「ど、どうしたの?」

「なんでそういうことはサラッと言うんだよ」

「へ?」

不思議に思って顔を覗き込むと、森井くんが気まずそうに視線をそらしてしまった。


「……カッコイイとか言うなよ」

「えっ、なんで……」

カッコイイって悪い言葉だなんて思ったことなかったけれど、人によっては嫌な言葉だったのだろうか。どうしよう。






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