初恋のうたを、キミにあげる。
そうやって私は、また使えなかった言葉をぽろぽろと心に押し込んで、腐らせていく。
言葉にも使用期限がある。
使わなければ、腐って膿んで、どろどろに溶けていく。
あのね、私そこまで重たく考えてなかったよ。
髪の毛も、ちょっと興味があって染めてみよっかなって言っただけなの。
だけど、そんなに黒のままがいいって言われちゃうと、なんていうか……私はそれすらする必要がないと言われてしまうみたいで、少し心に冷たい風が吹く。
「星夏! 見てこれ、星夏の好きな猫グッズ見つけたから、買っちゃった。三人でお揃い!」
「わあ……可愛い!」
「でしょ! 星夏喜ぶかなって思って」
でも、舞花ちゃんは私のことすごく大切にしてくれているのを知っている。
「ありがとう、舞花ちゃん」
舞花ちゃんが好きだ。
可愛くて優しくて、いつも明るいお姉さんみたいな存在。
「え、それ俺も入ってる?」
「なによ、いやなの?」
「いやぁ、そのファンシーなぬいぐるみ俺みてぇなやつに似合わねーだろ」
リュウくんが好きだ。頼りになるし、優しくて、努力家。私のお兄ちゃんみたいな存在。
「じゃ、リュウにはあげない」
「うそ、ちょうだい。仲間はずれとか悲しすぎんじゃん」
「じゃあ、カバンにつけてね」
「それは勘弁して」
ふたりが大好き。
だけど、いつも私は半歩後ろにいるような気がするのはどうしてだろう。