初恋のうたを、キミにあげる。
「飯食ったら購買行くから」
「へっ!?」
「気になるんだろ。じゃ、一緒に買いに行けばいいじゃん。飲み物とかも売ってるし。行くだけ行く」
私にとっては重たい一歩を森井くんは簡単に背中を押して、踏み出させてくれる。
「……一緒に行ってくれるの?」
「いやならやめとくけど」
「い、行きたい!」
「じゃ、決まりで」
私って本当意気地なしで、臆病で自分に甘くて、ダメなやつだ。
人に引っ張ってもらって、やっと一歩が踏み出せる。
変えてもらうばかりじゃなくて、私自身も変わらないといけないのに。
「やきそばパン以外だと、カレーパンとか人気らしい。あとはフルーツサンド」
「フルーツサンド?」
「イチゴとか、バナナとか生クリームが入ってるやつらしい。俺は食ったことないけど」
どうやら森井くんはここでお昼ご飯を食べるみたいで、ふたりで向かい合うように食べながらぽつりぽつりと会話をしていく。
「他には……なに売ってるの?」
「んー、飲み物とかちょっとした駄菓子とか」
私の話し方がたどたどしくても森井くんは言葉を待ってくれる。そして、きちんと返事をくれた。
まったく違う世界の人だと思っていたのに、森井くんといると落ち着くのはどうしてなのかな。