初恋のうたを、キミにあげる。




「あ、慎ちゃんここにいたんだ」

お弁当をちょうど食べ終わった頃、クラスメイト数人がこちらに近寄ってきた。


「おー」

「もー、探しちゃったよー」

派手な髪色と着崩した制服で目立っている人たちだ。森井くんとよく一緒にいるのを見かける。


……それに〝慎ちゃん〟って森井くんのことだよね?


「なんかさー、慎ちゃんと小宮さん最近仲良くない?」

金に近い髪色の女子生徒、木崎さんが不思議そうに首を傾げた。



「おっ! 木崎ヤキモチ? 修羅場な感じ?」

隣にいる赤茶色の髪の男子生徒がにやりとしながら、木崎さんと森井くんを交互に見る。



「それはないー。慎ちゃんとかないー。だって小さい頃から知ってるし」

「俺もねぇよ」

「だよねぇ」


木崎さんと森井くんはお互いに否定して、顔を歪めた。


その様子を見て、少しだけホッとしてしまった。


……また小学生の頃みたいに恋愛沙汰で揉めるかもって思ったからかな。






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