初恋のうたを、キミにあげる。
「は? アホだけどってなに! てか、笑う?」
私たちの話が見えないといった様子の木崎さんに向かって、意を決して口を開く。
「ぁ、あの!」
「ん?」
「……その、幼なじみ、なの」
情けないくらい震えた声。弱々しく言葉尻が消えていってしまった。
ぎゅっと手を握りしめて、下唇を噛み締める。
こんなはずじゃなかった。もっとちゃんと答える予定だったのに上手くいかない。
「私と慎ちゃんみたいな感じかー」
「え……」
「私たちも幼なじみなんだよね」
笑われなかった。変な顔もされなかった。
声にはなにも触れられなかった。
そのことに拍子抜けてしてしまう。
そっか。そうだよね。私……臆病になりすぎていた。
森井くんや木崎さんたちみたいに笑わない人だっている。変だと指摘しない人だっているんだ。