初恋のうたを、キミにあげる。



「ライバルじゃなくてよかったね、慎ちゃん」

「お前まじでむかつく。黙っててほしいんだけど」

「うっわー、小宮さんには優しいのに私には怖いー」

森井くんは顔をしかめているけれど、本心から嫌がっていなさそうでふたりは本当に仲が良さそうだった。なんだか楽しそう。



「お前に優しくする理由がねーよ」

「うっわ、それって小宮さんには優しくする理由があるってこと? やらしー」

「おい、まじでやめろ。小宮さん、本気にしないで頼むから」


初めて見る森井くんの焦ったような表情に少し驚いてしまう。

あまり感情を表に出さなさそうだけど、案外表情が豊かなのかな。



「あ、笑った! かわいいね、小宮さん」

「へ?」

「ほんわかって感じ!」

いきなり後ろから抱きつかれた衝撃に硬直してしまう。

舞花ちゃん以外にこんなことされたの久しぶりだ。





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