初恋のうたを、キミにあげる。
「同じクラスだし、これから仲良くしてねー!」
友達の作り方も。人との話し方も。私はずっと前に忘れてしまった。
声のことで人にどう見られるかと、いつもびくびくしていた。
だけど、今日は不思議と大丈夫な気がして、素直に「こちらこそ、よろしくね」と答えることができた。
「つーか、小宮さん。購買行こ」
「じゃー、私らも行くー!」
立ち上がった森井くんに続くように木崎さんたちもついていく。
慌ててお財布を手に持って追ったものの、私が彼らの中に混ざってしまってもいいのか不安で少し後ろを歩くことにした。
「どうかした?」
「え……ううん」
森井くんが歩く速度を落として、私の隣を歩いてくれる。
そんな些細なことが嬉しくてたまらない。
「あいつらとも話せそう?」
きっと木崎さんたちのことだよね。
少し前を歩いている木崎さんたちを見ると、楽しそうに話しながら笑っている。
彼女たちは思っていたよりも気さくで、怖くなんてなかった。